名前をつけてください

なにもないよ

3.1.2017


3月1日、天気は曇り。晴れているようで雲が多い。

少し気分が落ち込んでしまう。


朝10時に起きた。昨晩の酒が残っているのか、頭がぼんやりとしていた。

昨日は深夜になっても今自分が生きている実感が全く伴わなかったので、夜更かしをしてみたが、自分が今まさにここにいる感じが微塵もしてこなかった。

今は午前4時で、僕は何もせずにベッドにいる。

その事実さえよくわからなかった。

やることはあるはずなのに部屋に立って方々を眺め、廊下を歩いては洗濯物を眺める時間30分。

ギターを弾く時間1時間。それもnumber girlのI don't knowだけをひたすら弾く。


あの娘は今日も  夕暮れ族で半分空気

笑って走り出す

分かってない 分かってない 分かってない 分かってない 分かってない


それを交互にしているだけでゆうに6時間は費やした。


寝るタイミングになるといろんな人の顔を思い出した。

あんな人もいたしこんな人もいた。

家族もいたし友達もいた。

中学生の時の人もいれば幼稚園の頃の人もいた。

夢を見た。仲のいい人たちが笑って、そこへ抜けたり入ったりしていた。

僕はずっと笑っている。

夢分析。記憶の整理、未来への願望、過去への失望。

心理学、もう少しちゃんと勉強すればよかったな。


朝から隣の部屋のセックスがうるさかったが腹は立たなかった。

部屋が汚いことにも腹は立たなかったし、空腹である今にも腹は立たなかった。

文字にすることも話すことも馬鹿馬鹿しいので、きちんとした言葉を話す気が失せた。

今は起きてすぐなので気分がいい。だから先に日記を書いておく。

あくまで予定の。


就活がはじまった。

楽しみだ。心が未来へと浮かれている。

でもそれは本当に?

僕は寝坊をしたが、しかしその一方で行きたい企業の講演には行ける時間ではあった。

けれど行くのも面倒くさくなってやめてしまった。

大阪南港。なぜ僕は京都の実家にいない?ここは下宿先京都。実家からだったら安く行けたはずなのに。 

隣のセックスを壊してやりたい。

それから僕はお風呂に入り、髪を乾かして綺麗にヒゲを剃った。朝ごはんは食べるのが面倒くさくなってとばした。

一人で近鉄に乗って桑名市に行った。三重県桑名市

何をしにきたか自分でもよくわからなかった。

駅の看板を見て、それからしばらく遠くの景色を見た。

空は晴れていて、綺麗な夕焼け空だった。

改札を出て歩いていると、何人かのスーツ姿の学生とすれ違った。

そこで僕は完全に文字を書く気がなくなった。

というよりももう続きが書けない。

言葉にはもはや意味がない。


悪いことは重なるなぁ   苦しい日々は続くのだ

赤い夕日が照らすのは   ビルと日々の影だけさ


それで?

だから一体なんなんだ?




2.28.2017

 

2月28日、天気は晴れ。外に出てないから詳しくは知らないけれど、タバコを吸いに外に出てみたらひどく晴れていて気持ちが良かった。

春の匂いがして、太陽の匂いもした。

 

天気が良いだけで、そしてその匂いを嗅ぐだけでこんなに気分がよくなれるのなら、僕はどこでだって働けるのかもなと思った。

全くうまくいっていない就職活動中の今でさえそう思うのだから、ただ労働をするだけの社会人なんてより晴れている喜びを味わえるだろう。

メーカーも受けてみようかな。

 

もしかしたら僕もそういう幸せを享受できる人間なのかもしれない。

仮にそれが一般的なものではなくても、天気がよくてご飯が美味しくて、そして少しだけ自由に使えるお金がある。それでいいじゃないか。

僕にはそんなに莫大な時間なんていらなくて、お金とちょっとした心地よさ、それに余暇を楽しむためのほどよいストレスだけがあればいいのではないか。

でもどうだろう。そこのところはあまり自信がない。したいことはある。

ただ一人で生きていくためのお金が欲しい。

誰にも邪魔されないためのお金。もう誰にも会いたくない。

ずっと何かを発散するための活動を家に篭って一人でできたらそれでいい。

 

15時過ぎまで寝て、それから本を読んだ。

ご飯を食べないといけないのに外に出る気がしなくて、ずっと家で過ごした。

生きている上でやらなきゃいけないことは多いけれど、僕はそのどれもにやる気を感じなかった。

別にどうでもいいと心から思った。

 

明日から就活解禁ということで、やたらとメールが来る。

何もかもが押し寄せてきて僕に何かを伝えてくるけれど、どれも読まずにゴミ箱に捨てている。

情報情報、優良優良。数が多すぎて、何もかもが無意味に思えてくる。

 

疲れているだけだと信じたいけれど、就活をやめるわけにはいかない現状が腹立たしい。

特別自分に落ち度は感じなかったし、かといって他の人の素晴らしい点も感じられなかった。なのに僕が落ち続けるのは僕に落ち度があるからだろう。

しかしなんの落ち度? 経歴? 明るさ?

僕にはまったくわからなかった。

 

押し付けがましい自分の論理も、自分の話している内容も、もう全てに嫌気がさしてしまう。

黙ってしまいたい。書くことも話すことも。

疲れているだけだろう。早く寝よう。お腹は減っているけれど。

 

 

2.23.2017


2月23日、天気は曇り時々雨。

朝、外に出ると雨の匂いがした。とてもいい匂いだった。


今日はお昼にバンド練習をしに大宮へ。

久しぶりにやる人たちばかりで楽しかった。バンドをやるのは本当にいい。

真面目に練習をするというよりは音楽を使って友達を作るみたいな感覚で、いかにも大学生のサークルという感じがする。

ダサいっちゃダサいけど、居心地が本当にいいので自分の中ではセーフ。

練習マジでしてますって言いながら結局就職するヤツの方がダサいと思っている。


そのまま練習が終わったらカフェに行ってESを書く。

次は夜12時からまた別のバンド練。ESなんて所詮ただの時間つぶし。

特に力を入れたこと、の欄に変なものを埋めていたく満足する。

回を重ねるごとに書くのが上手くなっていってると思いたい。

自己プロデュースって本当にダサいし、無意味な気しかしないけれど。


眠い。

眠い以外に語ることが特にない。

日記を書く必要を感じない。

でもこれは継続だから仕方がない。

続けていけばそんな日もあるよなと思う。


今から少し寝たらすぐに起きて、その日中に郵便局に出さないといけない書類を仕上げなければ。

でも仲良い人といるのはいい。なんなら書類さえ出さなくていい気がしてくる。

最近、働きたいというか社会から認められたい一心で就活している気がするし、大卒の特典として就活をしている気もする。

それは大学生が卒論を書くのと同じ感覚?

だから僕は一旦就活してみてその企業が気に入ったらそこで働けばいいと思うし、嫌なら嫌でそこからどうするかを考えたらいいと思っている。

そんな風に僕は就活をしていきたい。


とにかく眠いな。夢が見たい。少ししか寝れないから。ちょっとでいいから楽しいやつ。

夢の嘘は後腐れがないけれど、現実の嘘は最後まで胸糞が悪い。

社会は本当に何一ついい嘘をつかない。

それが大人ですなんていう逃げ方、いい代表例だよな。




2.22.2017


2月22日、天気は晴れのち曇り。 
朝は陽射しが暖かくて気持ちがよかった。時間が経つにつれてどんどん厚くなる雲に、僕はお母さんの機嫌を思い出した。

朝から梅小路公園に行って散歩をする。
散歩をしていると隣にある京都市水族館のイルカショーの声がよく漏れてきて、僕はそのイルカショーに行って文句を言いながらすぐ帰ってやりたい気持ちになった。

平日なのにたくさんの人が芝生で遊んでいて、修学旅行かなにかの小学生は逃走中をやりたい人を募集していた。
本当は僕もその輪に混ざってワイワイしたかったのだけど、既に現実から逃走中だったので、そのまま梅を見てお昼を食べに京都駅に向かった。

いつも思うけれど、自己PRに書くべきものが見当たらない。
企業は本当にそんなものを200字で書けると思っているのか?
200字では書ききれない魅力こそが僕の強みですって書いちゃいたい。
どうですか?

大学で頑張ったこと。これも大きな問題だ。本当に何もない。
無駄な時間を極めに極めたり、嫌なことから逃避し倒したことだけは頑張った。
でもそもそも仕事は無駄な時間であり、人生自体が無駄なことの積み重ねなのだから、無駄を極めたこの僕が有能な人材であることは言うまでもない。

一回会社説明会か何かで、人材を人財と表記することをご丁寧に自慢されたことがある。
何を言っているのかよく分からなかった。
それなら全員採ればいい。財力は多い方がいいに決まっている。

ここで僕が提案したいのは、人罪についてである。
人は罪深き存在であり、必ず罪を犯すのだ。
それを如何に許していくか。それを如何に愛せるか。
その許容量こそが人間としての正常さじゃないのか?
綺麗な見せかけなんて必要ない。人材は人材であり、だからこそ採用活動が存在するのだ。
それで全てが緩和されると思わないで欲しい。
自分たち企業側の行為を純化しないで欲しい。この活動は終わっているのだから。終わっている。きちんと自覚してほしい。

晩御飯を食べながらドラマを見た。中々心苦しい回だった。夫婦って難しいんだなぁ。あそこの家族に子供が産まれたら、きっと僕みたいなものが出来上がるんだろうと思った。
スーツ姿で靴下を脱ぐクドカンに、自分の父が重なって虚しくなった。松たか子は丁寧に靴を揃えていた。
寂しい。人間は孤独が前提だ。

家に帰って友達と電話をした。
久しぶりの電話だった。懐かしかった。いつもと同じ口調だった。
話を聞いていると、いつも通り彼はとことん損をしていた。
呼吸をするように損をして、何人たりとも彼を救おうとしなかった。優しさに殺されて、優しさに裏切られている。
しかし彼は優しくせざるを得なかった。そこには彼の自由意志は存在しなかった。もうそれは習慣として、ただ無意識に彼の心に働きかけてしまう。
「ただ黙ってそこから立ち上がる」しか選択肢を与えてもらってないのに、仕方ないと割り切れる賢明さを、たとえ無理だとしてもそのフリに一生懸命徹する切なさを、一体誰が気づいてそれを評価するのだろうか?
人間は孤独が前提だ。

彼と別れた後、また別の友達から電話がかかってきた。
就活の話だった。半分寝ぼけて聞いていたので、自分が何を話したのかも忘れてしまった。
落ち着く声だった。

明日はちゃんと晴れて欲しい。それはそれは晴れて欲しい。晴れてしまったと思うくらい晴れて欲しい。
そうじゃないと世界はつまらない。



2.21.2017


2月21日、天気は曇り時々雪。


就活。

もっと寝ているつもりがぱっちりと目が覚めてしまい、それから何度も寝ようと試みるも失敗。予定時刻の3時間前に起きる。


ラインを開くと懐かしい名前から連絡が来ていて少し嬉しかった。なんてありきたりな名前なんだと10年目にして思った。

そう言う意味では、珍しいという点で自分の名前も捨てたもんじゃないと思った。でも僕は自分の名前が嫌いだ。


お風呂に入って短い髪を乾かし、髭を剃った後またいつものコンビニでコーヒーを買った。

タバコを吸った。

就活前には吸わないでという忠告を思い出す。

これでしばらく吸えないのだなと覚悟した。

外はいくらお風呂上がりにしても寒すぎた。


コンビニから帰った後、鏡の前で「こんにちは。よろしくお願いします。」を自然に言うための練習をした。

何回やっても鏡に映る自分は不自然な笑顔のままだった。


尊敬語の練習もした。

関西弁にだけ開かれた未知なる尊敬語を封じる策は最早ないことが明らかになった。先輩は何があろうと就職しはるんですか?

今まで先輩を先輩とも思わずに接してきたことを後悔した。

だから僕は、うっかり間違えた時用にかわいらしく舌を出す練習をした。

恐ろしいほど気持ちが悪かった。


関西の企業なんだからこれくらい分かるでしょ?みたいな顔をすることも試みようとはしたけど、僕は関西人が嫌いなのでやめることにした。 

もし関西人が嫌いじゃなかったら僕はそれを平気でやっていたと思うので、今日初めて関西人が嫌いな自分に感謝した。

関西生まれ関西育ちは関西をアイデンティティにする派としない派に分かれる。


その後なんだかんだ今日話すことを箇条書きにしておいた。僕が予想するに、これは何の役にも立たないだろう。


近鉄に乗って、京都駅で友達に会った。終始ふざけながらうどんを食べる。

でも本当は親子丼が食べたかった。


そう言えば今日のお昼、大阪にてなんかの大爆発が起きたらしいけれど、僕はビールを飲みながらそれを冷ややかに見送った。学生が大きな建物から吹っ飛んだらしい。そういう日もある。

小さな積み重ねは大事なのだ。

反省点?ちょっとよく分からない。でもそうは言ってもちゃんと分かってる。

そういうことは案外多い。

小さくていい。小さくていいことを知らなければならない。

今日はそれでいい気がする。


まあでもあれだ、壮大な話なんて誰も信じないよな。

彼らにとって僕たちは単なる初対面の学生に過ぎないんだし。信じられないのかも。ネガティヴワードをひっくり返すやり方も、技術がない人はやらない方がいいね。

とりあえず大きなことを話さなきゃいけないと勘違いしていたかもしれない。


切り替えよう。

僕はハナから全て上手くやれるほど器用じゃないし。

人生は長い。直したい放題じゃないか。素晴らしい。


帰りの電車の車窓に映る眼は疲れて真っ赤だった。

4時半からよく頑張りました。

お疲れ様。 


帰りに友達に呼ばれて本日2回目の京都駅へ。

頭が疲れてしまって、京都に向かうはずがなぜか三ノ宮にたどり着く。それでも友達に会いたい気分だったから、再び大阪を経由して京都へ行く。


晩は京都駅のとあるフードコートで何人かとご飯を食べる。

丸亀製麺の天ぷらを全種類乗せたうどんを食べ、ローストビーフ丼大盛りを食べた。

天ぷらは誰が何をしてもうまい。僕はそんな天ぷらのような人になりたい。


帰り道、あまりちゃんと話したことのない後輩と二人で帰る。

案外居心地が良くて落ち着いた。

二人でいなきゃ分からないことってたくさんあるなと思った。

芯のある落ち着いた子だった。


久しぶりに何もしない夜を過ごそうと、いつものファミマで安いワインを買う。

コンビニのワイン評など当てにしない。僕が求めるのは値段だけ。一人のワインは、安くて度数が高ければなんでもいい。

もはや何でも一緒。


じゃあもう何もかもが一緒であれよと思う。

無職も金持ちも。ブラックもホワイトも。美人もコーヒーも。餃子もナスのおひたしも。ギターもドラムも。プラダもシマムラも。

幼稚園の優等生みたいな思想だね。つまらない世界観。


2月もあと少し。どんどんと何かが近づいてきて、どんどんといろんなものが失われていく。

そんなことを夕方の繁華街を闊歩する大学生たちを見て思った。


もう僕は、待合室から顔を強張らせて会場へ向かう人の姿を見たくない。

悲しくなる。

そんな余裕自分にはないのに、

ガンの陽性検査の結果を聞きにいく人みたいな顔だな

とか思った。

そして僕は、敗れ去った甲子園球児のように唇を噛み締めながら頭を下げて会場を後にする。

少し悔しくて、その時初めて、自分が意志を持って活動していることに気がついた。



2.20.2017


2月20日。天気は曇り。今にも雨が降りそうだったから傘をとる。どこかに忘れないように願う。


二度寝した後朝7時半に起きて、近くのコンビニでおにぎりとエナジードリンクを買う。思った以上に眠くない。

いつも働いているおばちゃんに会計をしてもらう。軽く会釈して、いつも通り会計のお礼を言う。

タバコを二本吸う。


タバコを吸っている途中、昨日のライブで

タバコは良くない、本当にやめた方がいい

と注意されたことを思い出す。

ご丁寧に面接前は吸うなと念を押された。

そんなことで落とす業界なら鼻から結果なんてどうでもいいと思ったけれど、あんな酷いものを通してくれた会社だから、結果云々よりも礼儀だけはしっかりしておきたいと思う。

面接前にタバコはなるべく吸わないでおこうと思った。

終わったら死ぬほど吸おう。

そして心配してくれた友人に少しだけ感謝した。

わざわざ僕に話をしてくれる人には感謝しないといけない。

それは常に示していたいし、大切なことだと思っている。以前よりずっと前から。


少し散歩をした後、頭が回り始めたと勝手に思い込んでwebテストを受ける。

速さを求められるといつもパニックになる。いつも通り焦る。

次の予定があったけれど、思った以上にwebテストが長くて遅刻することが確定した。

またいつも通り遅刻常習犯の烙印を押される。

でもそんな「いつも」はいつだって僕に安心感をくれる。

どっかの小説家のように僕はやれやれと言った。

テストはできなかった。


京阪電車に乗って出町柳へ向かった。

三条のスターバックスがある橋の下で人と会った。そこには何人かいた。僕の髪は短かった。

ここでの出来事は特になし。とある打ち合わせをした。


1時間打ち合わせをした後はみんなでカフェに入ってご飯を食べた。

その後更なる無駄話をするためにサイゼリアでワインを飲んだ。デカンタ。あれ、最早ワインじゃない。

でもちゃんと話すには多分薄いくらいが丁度いい。


友達が少しだけ面接の練習をしてくれた。

友達が心配してくれて少しだけ悲しくなった。それはいい意味で。

ちゃんと自分には友達がいるんだなぁなんてよくわからない感動を体験した。

今まで自分なりにあれこれ考えて、捨て身の形で友達と付き合ってきてよかったと思った。

友達に自分の真似をされた時、自分が思った以上に強い語調で話していることに驚いた。

こんな奴によく友達ができたものだ。


そういえば一年前に就活中の高校の同期がいろんなことに感動していて、僕はそれを嘲笑って見ていたけれど、なんだか今ならそれを笑わずに見ていられる気がする。

そういうこともあるのだと難しい顔をしてうなづける。


明日もまた友達が面接の練習をしてくれるらしい。

少し泣きそうになった。


帰ったら電話でまた別の友達と話す。

そしてすぐ寝る。

決めている。明日は伝えたいことを一つだけ伝える。

別に落ちることは問題ではない気がする。

言いたいことをちゃんと言ったらそれでいい。

少なくとも僕はそれで満足する。


人と会うのはいい。

当たり前のことに感動する。


当たり前のことに気づけた!

分かるよ、分かる。

絆、今の僕には分かるのだよ。


でもそれ、浅いです。



2.19.2017


2月19日、天気は快晴。とても寒い。僕にしては珍しく暖かな太陽の日差しに感謝する。


眠い。ひどく眠い。顔が強張る。イライラもする。ずっと何かに怒っているような気がする。だけど何も解決はしない。残るのは申し訳なさだけ。


体に鞭打って朝早くから大阪へ。

いつも疑問なんだけど、囲みこみ質問タイム、あれなんなんだろう。別に質問することって面接対策とか試験対策くらいしか思いつかないし、特段聞きたいこともないのだけど。

はっきり言ってさっきお偉いさん方が説明された通りだし、内定者の仰せの通りじゃないですか?こんなことを思うのも僕の態度が悪いことが原因なのだろうか?

僕がこのシステムを一番嫌う理由は、何か質問しなきゃいけないと焦って、ぎこちない動きをしながらトチ狂った質問をひたすらかます奴を見なきゃならないところだ。

なんかあれを見ていると本当に辛くなる。

必死なんだ。みんな。

周りのやつらはせめて奇怪な目で彼を見ないであげて欲しい。というか何名かは嘲笑ってるんだよな、あれ。

正直僕の目から見ると、通るわけでもない会社の就職後の話や業界の話を今の段階で質問してるあなた達の方がよっぽど意図が分かりかねる。

彼らのそういう態度は酷く醜いと思う。

でもそもそもの話をしだすと就職活動そのものがとても醜くくて切ないものだし、それでもやっていくしかないと思わないといけない。

その質問コーナーの間、人事がすぐ横でずっとやりとりを聞いていて、ああ醜いなって思った。こんなことを思うのはダメなことくらい知ってる。許して欲しい。思ってしまいました。


帰り道あまりにもやるせなくて、中之島付近でカレーのお店に入った。

とても美味しかった。まあまあ安いくせに本格的。今なら分かるんだけど、そうだよね、就活中は並んででも美味しいもの食べたいよね。

そんなことを思いながらカウンターでオムカレーを食べた。僕から少し離れたところで女性が一人カツカレーを食べていた。

少し元気になったから、好きな音楽を聞きながら中之島公園をずっと歩いた。


公園はいい。みんな楽しそうだ。おじいさんは難しそうな顔をしながら芝生で本を読んでいるし、お父さんは幸せそうに娘とキャッチボールをしている。よく分からんどこぞの大学生は提灯を持ってヘラヘラ踊っているし、気持ち悪い衣装を着飾って無意味な撮影をしている人もいる。

公園で散歩している老夫婦は特にいい。とても幸せそう。

そんなことをしていたら、去年の5月にここに来て女の子とぎこちなく歩いてはわざとらしく振舞った挙句、帰り道に告白して沈没した出来事を思い出した。あの日も快晴で、僕は少し汗をかいていた。

なんだかひどく感傷的な気持ちになって、僕は写真を撮った場所をわざわざ訪れたりした。下見までして見つけた夜ご飯のお店は、遠くから見るだけ見て近くに行くのはやめた。


それから京阪電車に乗って、サークルのライブに向かった。

車内で寝そうだったから、寝過ごさないように本を読んだ。その本の中で狼狽えるほど的確な喩えがあって少し落ち込んだ。世の中には天才が多すぎる。

読書に疲れて視線をあげたらそこは中書島という駅で、遥か昔の4月に母親と定期券を買いに来た日のことを思い出した。

春は何でもかんでも思い出すし、気分は虚ろになる。本当に嫌だ。


会場へ向かう途中、何も練習していないのに一体僕は何をしに行くんだろうか   

とか

でもてきとうに弦をを鳴らせば音は出るし、まあいいか

とか思った。


4年も経とうとしているのに未だに人前でアコギを弾くのも歌うのも苦手で、手が震えて客も見れない。緊張してしまう。

エレキギターならそんなことならないのに。音がデカくて、エフェクターでごまかせるからだろうなぁ。

やっぱり演奏は今日もひどかった。

演奏後、誰からも声をかけられなかったりすると少し落ち込む。そんな自意識にも嫌になる。

でも思い思いに歌うと少しすっきりした。


もちろん髪型もいじられた。

髪を切ったら人には会いたくないものだ。

分かってはいたけど、やっぱり前髪がないのは似合わない。


少し疲れててあまり人と話す気になれなかった。

気を遣ってテンションを上げることもできなかった。ちゃんと夜は寝ないとダメだ。

こんな日は人に会わない方がいいんだろうなぁ。

みんな明るく楽しそうにしてて場違いな気がした。気を遣わせていたらどうしようなんて心配をした。

スーツの人が二人いて、頑張れと思う一方、私服の僕は本当にダメだなとかなんとか思った。

面接にはできる限り進みたい。明後日初めての面接だなんて少し恥ずかしい。でも進めてくれた企業には心から感謝できる。


ライブ後の後輩からの二次会の誘いを何回か断ってすぐに帰った。

申し訳なかった。来て欲しそうにしてくれていたから嬉しかったけど、そのぶんだけ申し訳なくなった。

楽しくやってねなんて先輩らしく言ってみたけど、それはなんだか割と本心から言ってる気がして落ち着いた。


帰りに同じ最寄駅の後輩と別れる時、彼女が寂しそうにずっとこっちを見ながら立ているものだから、なんだか僕も寂しくなってきて道を戻って声をかけてあげたかったけど、そんなことをしたらダメだと思ってまっすぐそのまま歩いた。

でもなんだかなぁなんて思ったから少し振り返って、

変な子だなぁってわざとらしく大きな笑い声をあげて帰った。

しばらく歩いたらまた道を戻って、少し遠いコンビニへ歩いてタバコを一本吸った。

その後はそのまま家に帰ってすぐ寝た。

明日はwebテストを朝早くに受ける。早く寝よう。


やっぱりベッドは気持ちよかった。

夢を見たいと思ったけど、やっぱり今日も見ないんだろうなぁと思った。

横になってみると、なんだかんだ今日は人に会って良かった気がした。